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コラム 『統計備忘録』 バックナンバー

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第98話 「enquête」

アンケートはフランス語です。綴りは enquête になります。enquête は「探し求める」を意味するラテン語 inquerere に由来します。日本ではアンケートというと、調査に用いる「質問紙」そのものか、「質問紙調査」という意味で使われていることが多いですね。フランス語の enquête は、もっと意味が広くて、捜査、探索といった意味も含まれています。質問紙を英語にしたいのなら questionnaire です。質問紙調査は survey research でしょうか。

なお、報告書や論文に「アンケート調査」と書くと「質問紙調査調査」と言っているのと同じじゃないかと茶々をいれる人がいるので、論文などでは「質問紙調査」としておくのが無難です。

さて、アンケートは世論調査にも用いられますが、世論調査を英語にすると opinion poll です。poll には投票とか選挙という意味もあります。国勢調査は population census、もしくは、単に census です。census(センサス)は全数調査(対象者のすべてを調べる調査)を指します。

そういえば、昨年は国勢調査の年でしたが、国勢調査は5年毎に行われます。日本で最初の国勢調査は大正9年(1920年)です。終戦の年だけ行われなかったので今回が19回目の国勢調査になります。世界中のほとんどの国が同じタイミングで国勢調査を行っているので、時系列で世界との比較ができます。今回は、団塊の世代が60代に突入してから初めての国勢調査ですから、各国比較を早く見てみたいものです(総務省統計局によると日本の速報値は2011年2月25日に発表)。


2011.02.18



第99話 「closed-ended questions / open-ended questions」

アンケートの質問を回答の仕方で分類すると、大まかには closed-ended questionsopen-ended questions の2つに分けることができます。

回答方式による質問の分類

Closed-ended questions とは、質問に対する回答の候補が選択肢として挙げられていて、その選択肢の中から自分にあてはまる選択肢を1つ以上選ぶタイプの質問です。英語では multiple-choice questions (多肢選択式質問)と表現されることもあります。この回答選択式の質問はさらに2つに分かれます。

選択肢を1つだけしか選べない場合を単回答もしくは単一回答の質問と言います。略すときは single answer から「SA」となります。SAの中には3つのタイプの質問があります。1つ目は、性別、職業など質の違いが選択肢になっているタイプです。統計学の世界では名義尺度と呼ばれているものです。2つ目は、同意の程度や好き嫌いの順位などを選択肢から選択するタイプです。この場合、選択肢には順序性があります。順序尺度用の統計手法を利用することができます。3つ目は量的なことを回答しやすいように量を階級に区切って、これを選択肢として選んでもらうタイプです。年齢とか年収とかのように正確な数字を答えるのに抵抗感が生じる場合によく用います。

選択肢を複数選ぶことができる質問を複数回答もしくは多重回答の質問と言います。こちらは multiple answers から「MA」と略します。複数回答による質問は、選択肢をばらして、選択肢1つずつを「はい/いいえ」で答えてもらう形に変更することができます。また、検定や多変量解析など統計的手法を用いてデータ分析をするときは、各選択肢それぞれを1個のデータ変数(最も多いのは1/0型のダミー変数)として扱います。

一方、open-ended questions とは選択肢がなく、数値や文章で回答を記述してもらう方式の質問です。

身長とか収入といったように数量を数値で答えてもらう質問を英語では numeric open-ended questions と表現します。その回答は数量回答数値回答と呼びます。アンケート集計ソフトの秀吉では省略形を numeric answer から「NA」としています。アンケートの世界では「無回答」のことを「NA(no answerより)」と略すことがあるので、注意してください。

文章や語句で回答してもらう質問は text open-ended questions ですね。その回答は文章回答自由回答などと呼びます。こちらについては、「OA」、「FA(free answerより。秀吉ではこちらを使用)」などと略されることが多いですね。TAと略しているのを見かけた覚えはありません。

2011.02.23



第100話 「Likert scale」

Likert scaleはLikert(1932)によって提案された心理測定法です。質問紙調査では回答者の態度や価値観を調べるときに用いられ、日本語では、リッカート尺度、リカート法、ライカート法など、人によって微妙に表現が異なります。

Likert scaleの第1の特徴は、次の5段階評価のように質問に対する賛否の程度を選択肢から選んで回答してもらいます。5段階評価が良いという人もいれば、7段階評価が適しているという人もいます。賛否どちらかにしてもらうために「どちらともいえない」を抜いて、4段階や6段階評価にすることもあります。質問の内容や、回答者の知性(子供に7段階は難しいなど)にもよるので何段階が最も適しているか一概には言えません。「全く」、「やや」、「あまり」など、副詞の捉え方も個人差がありますので、両端と真ん中の「どちらともいえない」だけ残して、「やや当てはまる」などは数字のみにしてしまうこともあります。

リッカート尺度の例

第2の特徴としては、この例のように「ユニークネス」を測りたいのなら、「ユニークネス」と関連が強いであろう幾つかの質問(山岡氏のユニークネス尺度は24の質問項目で構成されています)を行い、各質問の回答を点数化し、点数の合計でもって回答者のユニークさを評価します。人によっては「賛否の段階評価=Likert scale」と説明していることもありますが、それだけではLikert scaleと言えません。

各選択肢への点数の与え方は、質問ごとに、平均値が0、標準偏差が1になるよう標準化しておくのが本来の方法だったように記憶しています。既存の心理尺度など信頼性、妥当性がある程度確保されている質問群を使うなら、簡便的に、段階に応じて1点刻みの点数を与えるというのもよく行われています。

新たにオリジナルのLikert scaleを作ってみたいというのであれば、村上宣寛先生の『心理尺度の作り方』が参考になると思います。このとき必要になる因子分析やクロンバックのαなどはエクセル統計にも搭載されています。

2011.04.01




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